ACRMTSM KANAZAWA|ACRMTSM SHOP&RESTAURANT 完成の定義、未完成の儚さを価値想像した空間

金沢だけでなく日本全国にファンを持つセレクトショップのACRMTSM。今回は金沢店の移転に伴う店舗デザイン業務を、セイタロウデザイン金沢がお手伝いしました。

移転先は既存店の約十倍の売り場面積となり、現状の店舗とは違うコミュニケーションが生まれることを想定し、既存のアパレルショップで持っている既成概念を壊すところからデザイン業務をスタートさせました。

画一的な間仕切りなどは考えずスケルトン状態から一つ一つの動きを丁寧に考察し、必要なものとそうでないものを選択、来店される方々が店舗に何を期待して訪れ、その先を感じてもらえるような什器配置、動線設計や照明などの演出を施しました。

移転先で選定した物件は当初からのスケルトン状態であり、少し緊張感のある空間でした。

今回のデザインではその緊張感は維持しつつ、ACRMTSMが持っている雰囲気を表現し、間仕切りは全てP Bなどは貼らずL G Sのみで構成。概念としての壁で構築し、スタッドのピッチを少しづつ変えることでみる角度によって見える範囲が変わるように工夫を施しました。中二階として足場材を設け店舗内のショーケースとして利用しています。

フィッティングも普段はオープンなスペースとし、必要な時にドレープを利用することでフィッティングスペースとしての役割を果たします。

空間の天井が非常に高かったため天井の上のスペースも利用し、洋服を展示できるスペースとしています。

店舗の入り口は既存店であるような少し篭ったスペースとすることで従来のACRMTSMの店舗のファンも従来の店舗のイメージを持ったまま来店をすることができるようにしています。


between destruction and creation

移転前に比べて10倍(9.9倍)の新境地への葛藤を解釈し、11Mある間口に対して、お客様用の間口は3Mのみと意図的に絞り、約9坪からはじまった旧店舗の様々な思い出をサンプリングするように、備品配置、構成を盛り込んでいます。
そこを過ぎるとコアスペースが在ります。
敢えて工業製品を物件内で活用する事で、完成に向かう過程、破壊される様な狂気性と違和感を創造しています。
また足場用資材を内装備品として転換する事は完成と未完成の狭間の精神性を表しています。
完成の定義、未完成の儚さを価値想像した空間です。

FURNITURE DESIGN
INTERIOR DESIGN

Credit

Interior Designer: Satoshi Miyakawa / Interior Designer:Yushi Otsuki ( ACRMTSM )/