取り組んでいること | seitaro design, inc.

「旧奈良監獄の保存及び活用に係る公共施設等運営事業」の優先交渉権を獲得

奈良少年刑務所プロジェクト

明治41年に竣工され、100年以上に渡り重要な役割を担ってきた奈良少年刑務所（旧奈良監獄）。かつて明治の五大監獄と謳われ、重要文化財にも指定されているこの刑務所も、施設の老朽化に伴い、2017年、歴史に幕を下ろすこととなりました。
そのような背景を受け、法務省は、貴重な文化遺産を「歴史的建造物の保存」と「観光資源としての活用」という観点から、民間の力を使って利活用していくことを決定。民間の事業者を選定するためのコンペディションが、2017年に開催されました。
この日本初の試みを実現させるべく、セイタロウデザインも、ソラーレホテルズアンドリゾーツ株式会社を事業主とした、8社のコンソーシアムのメンバーとしてコンペディションに参加。ホテルやレストラン、史料館、天然温泉などを備えた「文化的複合施設」として奈良少年刑務所を活用していくというコンセプトの立案、プラン計画、基本設計、内装計画等を担当し、優先交渉権を獲得いたしました。
今後、この施設は大規模な耐震改修工事などを経て、2020年以降に、奈良県の新しい観光名所としてオープンする予定です。

谷崎潤一郎『陰影礼賛』をモチーフにしたインスタレーションプロジェクト

In Praise of Shadows

『陰翳礼讃』は、日本の作家・エッセイストである谷崎潤一郎が日本独自の美の感覚を論じた随筆集です。彼の思想をモチーフに、インクを使わずにタイポグラフィを施した和紙のポスターと、光、音楽、香りを用いて、五感で体感することができるインスタレーションプロジェクト『In Praise of Shadows』。この作品は、山﨑晴太郎が、デザイナーの小林誠太、音楽家の光森貴久、麻布香雅堂の山田悠介と共に作り上げました。
印刷という文字の定着剤を一切使用せず、素材と光の移ろいを通じて、空間の中に溶けるように浮かび上がる文字の物語を表現した繊細な和紙のポスター。
日本の伝統楽器と笙の音階をベースに電子音で構成され、実際に日本で録音された野外音や水琴窟の音も取り入れた音楽は、クアドラスピーカーを用いたサウンドシステムによって奥行きのある音の世界を体感することができます。
光が当たった部分では煙が現れ、影の部分では煙が消える、という視覚的な香りのイメージを元に考案された香りは、明と暗、そして来場者の動きによって、ひとつのかたまりとしての香りが再現されるよう設計しています。