金沢観光にとってマイナスである「雨」を、魅力に変換する
ホテルブランドの構築。

BUILDING A HOTEL BRAND THAT TRANSFORMS "RAIN",
WHICH IS A NEGATIVE FOR KANAZAWA TOURISM,
INTO AN ATTRACTION.

雨庵 金沢|ソラーレホテルズアンドリゾーツ

SERVICE BRANDING

「金沢の雨」まで、旅の魅力になるホテルを。


金沢という土地に本当に求められるホテルとは何か。「弁当忘れても、傘忘れるな」と言われているほど雨の多い街、金沢。美術館も多く、文化成熟度が高い街。町屋やお茶屋遊びなど、古い文化や町並みが未だ色濃く残る街。そんな街の中で、雨庵は三つのコンセプトによって作られています。

1.観光にとってデメリットである雨を、金沢の土地性として逆説的に魅力にすること。
2.お茶屋遊びに代表される、閉じられた宿泊者だけの豊かな空間を作ること。
3.金沢の土地と観光客の文化的結節点となること。

雨が多い街であるからこそ、体験価値を充実させた共用部とサービス。このホテルでしか鑑賞ができない、著名な作家の雨にまつわるアートや、伝統文化である志野流香道若宗匠が監修した特別な香りのおもてなし。土地性を最大限に取り込んだ、木質化した内装と、エクスクルーシブな体験を提供する閉じられた設計やこだわり抜いたタイプフェイス。建築、インテリア、アート、サービス、名称、ロゴ、サイン。一貫したクリエイティブディレクションを通じて、ホテルに泊まるという行為自体が金沢観光における文化体験価値になるホテルを目指しました。

雨庵金沢 | ソラーレホテルズアンドリゾーツ SERVICE BRANDING

  • SIGN DESIGN
  • CREATIVE DIRECTION
  • ART MANAGEMENT
  • PRODUCT DESGIN
  • CONCEPT DESIGN
  • NAMING
  • WEB DIRECTION
  • ARCHITECT DIRECTIRON
  • LOGO DESIGN
  • INTERIRORDESIGN
  • BRANDING
  • GRAPHIC DESIGN

01コンセプトとホテル名・VIの設計
金沢は、日本海側気候で日本でも有数の年間降水量が多い地域であり、年間約160日は雨が降るといわれています。
雨水をたたえ艶やかに輝く石畳、より緑を深くする兼六園の木々、キラキラと光りを反射させる街中のライトアップ。金沢の街並みには、そぼ降る雨がよく似合います。「弁当忘れても、傘忘れるな」と古くから言われてきた金沢。この街の文化や建物には、豊かな雨の記憶が染みこんでいるのです。
せっかく金沢を訪れたのなら、天気の良い日はもちろんだけど、雨の日の風情も味わい尽くしてもらいたい。
「雨」が多い地域性をホテルに取り込み、「雨」までも旅の魅力にしたいと「雨庵(うあん)」という名にしました。
本来なら、旅行で訪れた地で雨が降っていたら「せっかくの旅行なのに」と暗い気分になってしまうことでしょう。しかし、金沢の街には雨だからこそ気づく美しさや発見が溢れています。「今日は、雨で運がよかった」とお客様に思ってもらえること。本当の意味で金沢と深くつながる特別な時間をつくるために、意図的に「雨庵」という、今までのホテルではありえなかったネーミングとコンセプトを設計しました。

ロゴデザインは、モダンと伝統の融合を試み、縦組みのオリジナルフォントで設計しました。
伝統と芸術が豊かに調和する金沢の街並みを体現するように、書をベースに明朝やゴシックなど様々な書体のエレメントで構成しています。ロゴの思想をホテル内部のサイン(ピクトグラムや数字など)にも落とし込むことで、空間に独自の表情を与えています。
また、「金沢の雨」を表す深い藍色をブランドカラーに設定し、サインやツールなどを通して統一したブランドイメージを発信しています。

02ホテルの設計と内装デザイン
雨の金沢を最大限に味わえるよう、ハードとソフト双方からデザインされています。共用ラウンジは、金沢のお茶文化を愉しんだり、伝統工芸の体験教室を開催したり、ギャラリーとして機能したりと様々なコンテンツを包括しています。「天下の書府」と呼ばれた金沢を感じることができるよう、多様な書籍を用意したブックスペースも併設。オーダー家具のラウンジデスクは、多様な使い方を想定し、下部にスツールが内包できるよう設計。空間の用途を限定しない可動式とし、様々な取り組みを実施できるよう設計されています。
菱川師宣の浮世絵の雨の線表現からインスピレーションを受けた外部ルーバーは、ランダムな縦ルーバー。雨濡れで知られる東茶屋街の石畳をモチーフにした石材タイルや、 雨つぶをモチーフにしたランプシェード。加賀五彩を参照した色彩設計。全てが雨の金沢を魅力にするためにデザインされています。
金沢の古いお茶屋の導線に慣い、奥まったプライベート空間へ誘われるような基本道線を作っています。閉じられた玄関と合わせて、フロントまでのアプローチは、細いL型の廊下を歩いていく動線となっており、配置されている各アートを感じてホテル内部に入ってもらう計画です。合わせて、中庭や小上がりのある各客室の入り口も全てL型動線となっており、L字型のアプローチは、外部から共用部へ。共用部からプライベートへと入り込む一つの共通した体感儀式として機能させています。
素材を通じた金沢の体感価値にも配慮し、雨の金沢の石畳を想起させる石張りのラウンジのアプローチや、内部ルーバーを始め共通のオーク材に統一した木部。ストーンペイントで施工された壁面は、目の粗い石英によって柔らかな陰影を実現。派手な意匠ではなく、宿泊者が自分ごと化でき、質の高い時間を過ごせるよう配慮しています。認知が広がるまでの来客数が課題となるホテルが多い中、初月から非常に高い成果を出しました。
世界的書道家である紫舟氏の、雨にまつわる立体の書や、書のキュビズム作品。共用部に香るのは、「雨に濡れた石畳の風景を連想させる、瑞々しくも静けさを感じさせる香り」をイメージした、志野流香道第21世家元継承者である蜂谷宗苾氏監修「かおり箱」。その他にも、金沢を拠点に活動するクリエイターチーム「secca」によって、6,130日分の金沢の雨の情報が糸によって表現された作品や、伝統的な金沢和紙と漆によって作られたアートパネル。嫁入りする娘にのれんを持たせ、それを嫁ぎ先の仏間でくぐる「花嫁のれん」という独自の婚礼風習にふれる、加賀のれんや、加賀お国染の風呂敷など、新旧問わず、金沢と雨にまつわる様々な文化体験にふれることができるコンテンツを内包し、それらが互いに干渉しないような空間構成を行なっています。

03WEBサイトのデザイン
WEBサイトは、ロゴデザイン同様、モダンと伝統のイメージを融合して設計しました。
「雨」を連想させるネイビーをキーカラーに、「雨庵」の魅力がTOPページ上でひとめでわかるように構成しています。
また、雨の金沢を楽しむためのコンテンツ「雨と旅」をUPし、「雨庵」ならではの旅の提案をしています。

Creative Director + Art Director: Seitaro Yamazaki/ Producer: Asuka Kobayashi/ Copy Writer: Tsuyoshi Harada/ Designer: Seita Kobayashi/ Interior Design: Satoshi Miyakawa/